都内のスタジオに登場した小室哲哉はオープニングからグランドピアノを前に黙々と演奏を披露。次々と『CAROL』『DEPARTURES』『SWEET 19 BLUES』『Still Love Her』『My Revolution』『背徳の瞳~Eyes of Venus~』を弾き、ファンを喜ばせた。実はこの日、撮影前に指慣らしは行なったものの、セットリストを決めずに「即興」で演奏は行われ、スタッフ一同どの曲が演奏されるのかはだれも知らなかった。小室哲哉自身も、演奏をしながら構成を考えているので、どうこの放送が展開するのかわからない状況だ。ただ、閑静なスタジオの中で、美しいピアノの音色が響き渡り続ける。ユーザーからは歓喜の書き込みが溢れかえった。
そして、急遽スタジオを変え、DJスタイルに変更。ここでも、数々の名機を操り即興で演奏。小室哲哉の代名詞ともなっている四方をシンセに囲まれたスタイルにCD-Jをプラス。先ほどまでの優雅な空間から一変、ハードなシンセプレイを魅せる。『ROCKET DIVE/hide』『You're my sunshine/安室奈美恵』などをEDMアレンジした楽曲へ、次々とシンセ、ボイスサンプルを重ねていく。そこには、我々の知っている「プロデューサー」小室哲哉ではなく、一人のミュージシャン・プレイヤーとしての小室哲哉の姿があった。終盤、指が震えながら、それでも渾身の力で鍵盤を押さえ、弾き続ける姿は楽しそうでありながら、鬼気迫るものを感じる。実は、撮影前に我々のインタビューに小室哲哉が答えてくれたのだが、彼の言葉からは現在の音楽業界に対する危機感が非常に強く感じられた。その言葉を受けこの日の小室哲哉のパフォーマンスを見ていると、すべてのファンへ、そしてすべてのミュージシャンへ、小室哲哉が常に「初期衝動」を忘れずに変革を求め続けている事を証明したかのように見えた。「まだまだ音楽で新しいことは出来るんだ」と。
プレイヤーとしての小室哲哉は、即興で音源をかぶせ、なおかつ複数のシンセを使用しているのでピッチコントロールは非常に難しく、多少のピッチのズレも合ったがそれすらも演奏のアジに変えてしまう所に、パフォーマーとしての個性が光る。シンセを弾く手が両手だけでは収まらず、Nord Leadの鍵盤を膝で押さえ弾く。轟音のノイジーな音も聞かせ、まさにクラブ仕様。スタッフも、いつしか小室の演奏に聞き入ってしまい、これが小室哲哉の誕生日であることを、皆が忘れてしまうほどに極上の演奏となった!
彼ほどのキャリアがあれば、ここまで全身全霊で演奏をしなくてもいいはずだ、そもそも彼が祝われる立場なのだから、楽しく仲間を呼んでHappy Birthday!をするだけの生放送でも良かったはずだ…。しかし、小室哲哉は何よりも見ているファンを喜ばせ、そして驚かせるために自身の誕生日であるにもかかわらず演奏を続ける。最後、カオスなDJスタイルは代表曲である『Get Wild』で演奏を終え、今一度、グランドピアノの前へ向かい演奏、長かったソロ演奏を終えた。
プレミアム放送では、まずはニューアルバム『QUIT30』と著書・「CAROLの意味」の紹介を。ここまで本当に一言も喋らなかっただけに、ファンは「やっと声を聞けた!」と大喜び。そして、仲間であり最近はバラエティーでも話題のTRF・DJ KOOが登場。独特のホンワカとした語り口でまったり空間を小室哲哉と共に作り出す。先ほどまでの演奏とはガラリと変わった雰囲気に、ファンも驚くばかり。途中、運ばれてきたケーキのローソクを何の合図もなく小室哲哉が間髪入れずに吹き消すと、突然の出来事にDJ KOOは唖然…「おめでとうございますって言ってくれるのかと思って(笑)」と小室哲哉は苦笑い、なんとも不思議な二人だ(笑)。最後は、ここでもユーザーからのリクエストに答え、グランドピアノで一曲披露し、小室哲哉の誕生日記念生放送は終了をした。
ハード過ぎる56歳の誕生日を自らのソロ演奏で彩った小室哲哉。この日の放送は、すべての音楽ファン、そしてすべてのミュージシャンが見なければいけない、それほどの衝撃を受けるであろう1時間以上の神がかった演奏だった。小室哲哉の目は、確実に未来に向いている、そう確信した夜だった。
小室哲哉がニコ生で衝撃の即興演奏
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