人気ヒップホップ・グループの防弾少年団が11月16日に初の単独コンサート「BTS 2014 LIVE TRILOGY EPISODE II. THE RED BULLET」(会場:東京国際フォーラム ホールA) を開催。10月にソウルで行われた同名の公演に日本語曲をプラスし、独自の編成で超満員のARMY(ARMYとは防弾少年団のファンのこと) を熱狂させた。
日本初お披露目の曲で見どころ満載
会場は、赤の取っ手に黄色く光るペンライトを手にした女子で超満員。そこへ怖そうな男性の声が響く。どうやら、声の持ち主はとある学校の先生のよう。彼が出欠をとるとメンバーは遅刻している様子だ。彼は観客にも「ライブ中の撮影はNG」とアナウンスし、つまり、この会場は今、5000人の生徒を収容する巨大な教室になった。
ステージ上のモニター画面に目を移せば、殺伐とした教室が映し出され、黒板は難解な数式で埋められている。荒れているのは生徒のせいではない。教育は僕らを弱肉強食の環境におき、友人をも踏み台にし一番になることを強いている……そんな強圧的な教育システムが学校を荒廃させたのだ。すると、そこに遅刻した7人生徒が! そう、現れた学生は防弾少年団(以下、BTS)。一度席に着くものの、教師と口論になったメンバーは教室の外へ。学生服にアーミージャケットを重ねて、再び教室へ向かった彼らは赤い銃弾を手に反撃を開始した。
彼らの反撃とはもちろん舞台上でのパフォーマンス。白のシャツにブラックタイ、その上にブレザーを重ねたメンバーたち。オープニングの「N.O」ではメンバーの前に格子状のものが設置され、それは若者の自由を束縛しようとする桎梏を象徴したものか。我慢を強いる教育制度に“NO”を告げる熱いパフォーマンスに、気付けばいつの間にやら、その格子も吹き飛ばされている。その後もトリッキーなキャップ・パフォーマンスが光る「WE ARE BULLETPROOF Pt.2」から、新曲「HIP HOP LOVER」まで、ヒップホップ度高めの歌で真っ向から勝負。低音をブリブリ利かせた重いサウンドと力強いパフォーマンスがファンの歓声をかき消していく。
「HIP HOP LOVER」は韓国で8月に発表した初の正規アルバム収録曲で、ライブ中、メンバーはアルバムについてこう紹介した。
「僕たち歌手にとって、1枚目のフルアルバムはとても重要なものです。とてもワクワクしましたし、楽しく作ることができました。それをリリースすることができたのはここにいらっしゃるARMYの皆さんのおかげです。」(SUGA)
「本当に緊張しましたが、SUGA兄さんみたいにワクワクしました」(ジミン)
「いつも音楽を作るとき、どうすれば、僕たちの話を伝えられるかを悩んでいます」(RAP MONSTER)
「僕たちのストーリーをお伝えしたくて、直接、作詞と作曲をしました。なので、もっと真心がこもったアルバムになっていると思います」(J-HOPE)
彼らの言うようにこの作品の重みは大きく、それを引っさげての本公演はアルバム収録曲が軸に。初お披露目となる新曲がこの日の見どころとなり、「HIP HOP LOVER」もその一つ。Verse1をRAP MONSTERが、2をJ-HOPEが、そして3をSUGAが歌い、ボーカル陣のファルセットボイスが3人の攻撃的なラップを繋いでいく。自分たちの人生をふりかえり、自身の身をヒップホップに捧げる決意を歌ったこの曲は周囲のヒップホップ・アイドルという見方を見事に覆した。
ステージもフロアも序盤からヒートアップし、ジャケット姿のメンバーは暑さ120%。歌い終えたJ-HOPEは「ワォ、ワ~ォ、ワ~~ォ。皆さん、盛り上がってますねぇ~。僕たちはすごく暑いので、ジャケットを脱いでもいいですか」と尋ね、メンバーはシャツ姿へ。実はこの衣装チェンジは暑いから、という理由ではなく、雰囲気を一新するため。その後、彼らはそれまでとは違った曲調の新曲を連発し、新たな姿で魅了する。
「僕たちは本当は甘いんです」(ニッコリ)
「日本のファンの皆さんが一番大好きな曲」(RAP MONSTER) という紹介に続いた「LET ME KNOW」も彼らの新たな面を見る逸曲。失恋ソングながら女々しくならないのはその幻想的なサウンドゆえ。ラップチームは一段高いステージに昇り、一人ひとりにライトが当たり、全員がバランス良く歌い繋いでいく。最後はジミンが驚異のハイトーンボイスで締め、全身を使って表現。SUGAプロデュースのこの曲で彼らはダンスに頼ることなく、アーティストとしての表情を露に。歌い終えたSUGAは「なんといっても、『LET ME KNOW』は僕が作った曲。日本で初めて披露したので、ワクワク、そして緊張しました。皆さんが一緒に楽しんでくださったので、感動しました」と振り返った。そして静かに降る雨をバックに歌った「RAIN」はウッドべース音が優しく響くジャジーヒップホップの傑作だ。
「僕たちはアイラインもとても濃いし、多くの方に怖いと誤解されているかもしれません」(SUGA)
「僕たちはいつも普段ステージの上で、強くパワフルなパフォーマンスをお見せしていますが、こんな甘い感じもいいですか?」(RAP MONSTER)
RAP MONSTERがそう語るとメンバーは「ここもカッコウいい。あそこもカッコウいい。全部カッコウいいねぇー。完璧ね~」と大盛り上がり! 最後はJ-HOPEが「本当は甘いんです!」と締め、ジミンは愛嬌たっぷりに身体をくねらせた。
そんなトーク中、末っ子のジョングクがいないことに気付く。ステージにはソファとベッドが運びこまれ、寝室へと早変わりし、ジンの「次はフワフワしたステージ」という紹介で、ジョングク不在のまま「BLANKET KICK」が始まるのだが、ファンは訝しさをぬぐいきれない。すると、彼が「オンリー・ユ~~」と甘さ全開な歌声で布団の中から登場。予期せぬ演出に会場は黄色い歓声一色となり、「イェッポ、イエッポ(可愛い、可愛い)」と歌うところでは、メンバー全員が顎の下に両手を当て愛嬌ポーズ! SUGAを除くメンバー6人が3つのカップルに分かれてハグをすれば、再び黄色い悲鳴が上がり、可愛らしさでファンをノックアウトする。
そして既発表曲の「JUST ONE DAY」(ジンのバラ・マジックは今回は歩きながら!) や、ジンとジミンがジョングクの両手を引っ張りあったり、じゃんけんで負けたジミンが愛嬌ポーズを大判振る舞いした新曲「LOOK HERE」も楽しさ満点。「PROPOSE」ではジンがジョングクに、ジミンがVにプロポーズ(Vはジミンのオファーをパンチで拒否!) するなど、ファンの萌え心をくすぐる場面も忘れない。
甘い曲を連発した後は、オープニングのVTRをプレイバック。彼らの放った赤い銃弾は黒板をブチ破り、前半戦を終えた教室には炎だけが残っていた。
「DANGER(JAPANESE VER)」を先行公開!
後半は「日本デビュー曲で思い出が多い」(V) という「NO MORE DREAM」(JAPANESE VER) からスタート。デビュー1周年を記念した「SO-4-MORE」ではモニター画面でカレンダーがめくられ、全員でこれまでの歩みを振り返る。そして「MISS RIGHT」ではジンが「一緒に歌ってみましょう」と呼びかけ、会場が一つになって唱和。胸に手を当て、その後、投げキッスをする場面もあり、フロアはハッピームードに包まれた。また「LIKE!」ではモニターがSNS風の画面となり、エンディングではメンバーがフロアに背を向けながらサムアップなグッド・サイン……そんな演出も粋だ。そして血で赤く彩られたモニターを背景にした新曲「KILLER」は3人のラッパーがステージに。カクテル光線が飛び交う中、歌った姿は危険度が高く、またも表情を一変させた。
そして3人はステージ上で衣装をチェンジするのだが、J-HOPEの背中は汗びっしょりで肌が透けて見える。さりげなく見せたセクシーな場面に場内が沸く。
残るメンバーも合流し、黒を基調にした衣装で演じたのは新曲「WAR OF HORMONE」! さらにロックとヒップホップを融合させたクールな曲でBTSは最後まで会場をアゲていく。まずはアルバムタイトル曲「DANGER」の日本語バージョンを11月19日の発売に先駆け先行公開! 発売前にも係わらず、ARMYの掛け声が一糸乱れないのも感動的だ! そして本編幕締めとなる日本盤2ndシングル「BOY IN LUV(JAPANESE VER)」までファンの熱い歓声は止まなかった。
BTSの快進撃に終わりはない
本編終了後、アンコールを待ち望むファンの「BTS」コールに応え、モニター画面にはモノクローム色の彼らの練習生時代の動画が! そしてビデオを通じてこんなメッセージが送られた。
……英単語ではなく、ラップで白いノートを埋めてきた。体が壊れるくらい踊ってきた。でも、僕らには変らない悩みがあります。それは、この道の先に俺たちは何を見ているのか、ということ。それでも、待ってくれる人と歓声があれば、この道に終わりはないと思いたい。どこまでも行ってみようと思います。今、共に歩んでくれるARMYのために、また一歩、踏み出してみたいと思います……
その第一歩目がアンコールのオープニング曲「ROAD」で、テロップ・メッセージはイントロだったのだ。そしてフィナーレはファンなら激盛り上がり必至の「JUMP」「THE ATTACK OF BANGTAN」「PALDOGANGSAN」をノンストップで。ダンサーに抱えあげられたジミンが飛行機のように宙で舞うといった見せ場も取り入れ、最後までテンションの高いパフォーマンスを演じた。
ヒップホップを軸にオールラウンドなパフォーマーとして
1stアルバムで自分たちの音楽の世界を広げ、その豊かさを伝えた本公演。このアルバムの制作にはアンダーグランドなヒップホップミュージシャンも参加し、彼らはヒップホップにしかと軸足を置いている。また、日本デビュー当初こそ、アクロバティックなダンスに話題が集中したが、今ではそれも彼らの魅力の一つでしかない。ボーカルチームのスウィートな歌声にも磨きがかかり、今のBTSにはオールラウンドな魅力が輝いている。そしてジミンが「(ファンの) みんなは本当にテバク(韓国語でスゴイの意)」と語ったようにファンのサポートも◎(二重まる) だ。
終演後に上映されたビデオではリハーサル風景が映し出されたのだが、そこにはJ-HOPEがバスケットボールを手にドリブルしダンクシュートを決めるシーン(@「THE ATTACK OF BANGTAN」) もあって、細部にまでこだわって準備していることに驚かされた。そんな真摯な姿勢は自信漲るパフォーマンスとなって表れ、本番では安定の愛嬌を誇るVを筆頭に、微笑ましくなる仕草をアドリブでバンバン加えてくるのだからタマラナイ。
来月24日には初の日本盤アルバムを発表し、その勢いがとどまることを知らないBTS。公演の最後はモニター上に「『BTS BEGINS』 IS COMING!!」という意味深な文字が浮かんだのだが、果たしてBTS BEGINSとは? 今後のBTSにステイ・チューン!
BTS 2014 LIVE TRILOGY EPISODE II. THE RED BULLET
2014.11.16 東京国際フォーラムホールA
【セットリスト】
1 N.O
2 We Are Bulletproof PT.2
3 We On
4 HIPHOP LOVER
5 Let Me Know
6 Rain
7 Blanket Kick
8 JUST ONE DAY
9 Look here
10 Propose
11 No More Dream -Japanese Ver.-
12 so-4-more
13 tomorrow
14 Miss Right
15 Like!
16 If I Ruled The World
17 Killer
18 Triptych+War of Hormone
19 Danger -Japanese Ver.-
20 Boy In Luv -Japanese Ver.-
-Encore-
21 Road
22 JUMP
23 The Attack Of Bangtan
24 Paldogangsan
ライター:きむ・たく
【防弾少年団 最新情報】
■ライブ情報
防弾少年団 1st JAPAN TOUR 2015「WAKE UP」
【東京】幕張メッセ 幕張イベントホール
2015年2月10日(火) 18:00 open / 19:00 start
2015年2月11日(水・祝) 14:00 open / 15:00 start
【大阪】フェスティバルホール
2015年2月13日(金) 18:00 open / 19:00 start
2015年2月14日(土) 14:00 open / 15:00 start
【名古屋】Zepp Nagoya
2015年2月17日(火) 18:00 open / 19:00 start
【福岡】Zepp Fukuoka
2015年2月19日(木) 18:00 open / 19:00 start
■リリース情報
1st Album「WAKE UP」
発売日:2014年12月24日(水)
3rd Single「Danger-Japanese Ver.-」
発売日:2014年11月19日(水)
防弾少年団JAPAN OFFICIAL FANCLUB:http://bts-official.jp/
元記事配信日時 : 2014年11月18日00時00分 記者 : Kstyle編集部、撮影 : 朝岡英輔
【REPORT】防弾少年団「僕たち本当は甘いんです」ハードなパフォーマンスからスウィートな歌声まで…ヒップホップで魅了 KSTYLE
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