「生ける伝説」ポール・マッカートニー 49年ぶり武道館にファン歓喜

「アウト・ゼアー ジャパン・ツアー2015」最終日。遂にポール・マッカートニーが日本武道館のステージに帰ってきた。

1966年のザ・ビートルズの熱狂の来日公演以来、49年ぶり。生ける伝説であるポールのロックの殿堂への帰還は、まさに全世界注目の“歴史的イベント”と言っても過言ではない。

会場周辺には開場時間のだいぶ前から多数の観客が詰めかけ、ただならぬ興奮状態に。歴史的現場にこれから立ち会える歓びを誰もが噛み締めているような雰囲気だった。

沿道を埋めつくしたファンの声援のなか、ポールは16:33に会場入りしリハーサルを行った。場外に漏れ聞こえてくるのは、ドーム公演では演奏されなかったビートルズの名曲の数々。開場を待つ観客のテンション否応なしに盛り上がった。

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18:20に開場。動員は約1万人のソールドアウト(今回の来日公演は全5公演で約20万人の動員)。場内は開演前から自然と手拍子や歓声が起こるなど、観客の興奮はどんどん増すばかり。また、武道館の外にはチケットをゲットできなかった数百人のファンが会場の動向を見守っていた。

場内のテンションが最高潮に達した19:55、暗転しポールがステージに登場。手を振って割れんばかりの大歓声に応えた。注目の1曲目はビートルズの『キャント・バイ・ミー・ラヴ』。出だしから満員の観客と一体になって盛り上がる。演奏後の最初のMCは、日本語で「コンバンハ、トーキョー! ブドウカン ヘ ヨーコソ!」。2曲目の『セイヴ・アス』の後にも「ヒサシブリ、ブドウカン!」と日本語でコメントした。

4曲目には、今回の来日公演では初披露となるビートルズの『ワン・アフター・909』を演奏。観客にとって嬉しいサプライズとなった。とにかく観客の盛り上がりが凄まじく、ポールとバンドもそれに応えるように熱いパフォーマンスを繰り広げる。6曲目は、1966年のビートルズの日本武道館公演でも演奏した『ペイパーバック・ライター』。きっとポールにとっても観客にとっても感慨深かったに違いない。

セットリストは、昨日までのドーム公演に則っているが、所々で今回の来日公演では初披露となるナンバーを挟んだスペシャルな構成。先述の『ワン・アフター・909』に加え、『アナザー・ガール』や『ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ』『バースデイ』といったビートルズ・ナンバーは、武道館の観客への何よりのプレゼントとなった。特にアルバム『ヘルプ!』からの『アナザー・ガール』は、ポール曰く、なんとステージでは今日が世界初公開とのこと!

途中のMCでは、「この中で、1966年のビートルズの武道館公演を観た人はいるかな?」と語りかけた。また、最新アルバムからの『NEW』のタイトル曲で、演奏が終わったあとにサビ部分をもう一度演奏して観客と一緒に歌うのを楽しんだり、『ブラックバード』の演奏前には場内の客電を少し明るくし、ステージ真後ろの見切れ席を除きびっしりと埋めつくされた客席を見渡すといった、ドーム公演にはなかった一幕も。

「イッショニ ウタオウヨ!」という日本語MCとともに演奏された『オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ』以降はますます盛り上がらずにはいられない鉄板の流れ。さらに、『レット・イット・ビー』と『ヘイ・ジュード』では、観客全員がリストバンド式のライトを揺らし、場内が光で埋めつくされるという美しい光景が。これにはポールも大感激で「みんな最高だよ!」と興奮して語った。

本編終了時点で25曲を演奏。だが、もちろん客席からはアンコールを求める大歓声が巻き起こる。

ほどなくステージに戻ったポールは、「ブドウカン! ブドウカン!」と観客とのコール&レスポンスを楽しんだ。そして演奏したのは、1966年のビートルズ日本武道館公演でも歌った『イエスタデイ』。ポピュラー音楽史を代表する珠玉の名曲が、約半世紀という時を超えて同じロックの殿堂で再び歌われるという“歴史的瞬間”が実現した。

続く『バースデイ』では、観客全員がポール主催のバースデイ・パーティーに招待されたような盛り上がりっぷり。そしてアンコール最後は、もちろんメドレーの『ゴールデン・スランバー~キャリー・ザット・ウェイト~ジ・エンド』。再び場内がライトで埋めつくされる。演奏がすべて終わると、ポールは「みんなビューティフルだよ、武道館! マタアイマショウ! マタネ! See you next time!」と言ってステージを去った。

明るくなった客席を見渡すと、興奮冷めやらない様子の観客の姿が。そしてなにより場内がとびきりの笑顔であふれていた。2時間20分にわたって日本武道館をロックしまくったポール。この日の公演は、1966年のビートルズ公演同様、後世まで語り継がれることだろう。

《セットリスト》
1. キャント・バイ・ミー・ラヴ(ビートルズ)
2. セイヴ・アス(ソロ / 最新アルバム『NEW』より)
3. オール・マイ・ラヴィング(ビートルズ)
4. ワン・アフター・909(ビートルズ)●
5. レット・ミー・ロール・イット(ウイングス)
6. ペイパーバック・ライター(ビートルズ)★
7. マイ・ヴァレンタイン(ソロ)
8. 1985年(ウイングス)
9. 恋することのもどかしさ(ソロ)
10. 夢の人(ビートルズ)
11. アナザー・デイ(ソロ)
12. ダンス・トゥナイト(ソロ)●
13. 恋を抱きしめよう(ビートルズ)
14. アンド・アイ・ラヴ・ハー(ビートルズ)
15. ブラックバード(ビートルズ)
16. NEW(ソロ / 最新アルバム『NEW』より)
17. レディ・マドンナ(ビートルズ)
18. アナザー・ガール(ビートルズ)●
19. ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ(ビートルズ)●
20. ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト(ビートルズ)
21. オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ(ビートルズ)
22. バック・イン・ザ・U.S.S.R.(ビートルズ)
23. レット・イット・ビー(ビートルズ)
24. 007死ぬのは奴らだ(ウイングス)
25. ヘイ・ジュード(ビートルズ)
アンコール
26. イエスタデイ(ビートルズ)★
27. バースデイ(ビートルズ)●
28. ゴールデン・スランバー~キャリー・ザット・ウェイト~ジ・エンド(ビートルズ)
● 今回の来日公演では初披露となった曲
★ 1966年のザ・ビートルズの日本武道館公演でも披露された曲
(PHOTO: (C)堀田芳香)


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