復帰を飾ったのが、3月中旬より幕を開けた「Moran Anniversary 東名阪Oneman Live" Dreamy Anniversary"」公演だった。先に、大阪と名古屋で実施。Moran"7歳"の誕生日を祝うパーティのファイナルを、3月28日(土)に新宿ReNYで行った。
会場の隅まで埋めつくされた場内。それだけ多くの人たちが、Moranの7歳の誕生日と表舞台に戻ってきたことを祝福しに、会場へと足を運んでいた。
この日のMoranは、2回のアンコールを含む全24曲を、2時間半強という時間の中へ濃縮し届けてきた。7年間という歴史を振り返る…と言うよりは、Moranを信奉するHolic(ファン)たちと共に熱狂へ身を浸すことで、自分たちが「未来へ向けて生きてくことを実感したかった」と言ったほうが正しいだろうか。感情を武者震わせる楽曲たちや、秘めた感情を歌に乗せ告白したMoranの本質を成す歌たちを軸に据え、5人は、この日のワンマンのステージへ挑んでいた。
「いこうか!!」、Hitomiの声を合図に力強くビートが躍動し始めた。「揺らせ!揺らせ!!揺らせ!!!」、ライブは、会場中のHolicたちを跳ねさせた『Stage gazer』から幕を開けた。熱を持った演奏を真正面から叩きつけてゆくメンバーたち。「すごく揺れるぞ、その熱さをもっとくれよ!!」。牙を剥き出し疾走してゆく演奏、冒頭から場内には、メンバーと満員のHolicたちとの肉弾戦が繰り広げられていた。「もっともっと体温を上げてくれ。俺の視界をゼロにしてくれよ。殺ってみろ!!」。
『White Out』では、Holicたちへ挑みかかるよう身体を前屈したHitomiが、鬼気せまる表情を持って絶叫していた。この日のライブには、安寧な空気なんて必要ない。高ぶる感情と感情を戦わせあうことが答え。理性が壊れてゆくのに喜びを感じるなんて、滅多にない経験だ。それが、この日のMoranのライブに映し出された姿だったのは間違いない。
「飛べ!飛べ!!飛べ!!!」。重厚なダンスビートがヒステリカルな旋律と共に駆けだした。誰もが感情の内側から沸きだす痛い衝動を身に抱きながら、『but Beautiful』の描く熱狂と陶酔の世界へ飛び込み続けていた。轟く黒いウネリが、高ぶった感情をガンガン蹴飛ばした『明日への剥離』。荒れ狂うSiznaのギターの旋律も、嬉しい高揚を導き出していた。
暗鬱な音の波を会場中にはべらせた『望めないと知る結末に理由が僕を慰める』。幻惑なドラマ描くヒステリカルでダークな音の唸りに、心や視線が終始釘付けになっていた。アカペラから始まった『The Hermit(ロングver.)』では、黒い日傘を翳した黒づくめな姿のHitomiが、闇の広がる空間へ向け歌いかけてきた。僅かな光が、月明かりのように舞台上を照らしてゆく。なんて、たおやかな狂気抱いた神秘的な風景なんだろう。
Siznaの爪弾くアコギの音色が奈落へと連れ出した『堕落へと続く偏愛の感触』を通しHitomiは、とても哀切な歌を口づけてきた。その歌に、恍惚を覚えながら溺れてゆく。その感覚に、心が嬉しくむせび泣いていた。
嘆く想いを告白するように『同じ闇の中で』を、今にも壊れそうな色の声でHitomiが歌いあげた。「暗闇の中、何もかもが一つに解けて。他には何もなくて、それが良くて…」。心塞いだ世界の中から伝わってきた、感情を帯びた嗚咽と叫び。そこには、確かに"生"が脈打っていた。その叫び声が、優しく希望を投げかけていた。
♪お前のために綴る歌を♪♪私のために綴る歌を♪。Holicたちとの歌の掛け合いも登場した『今夜、月のない海岸で』を奏で、Moranは場内を踊り狂う宴の空間に様変えてゆく。手にしたタオルを頭上高く掲げ、あらん限りの力で振り続けた『ホログラム』。「イカれちまおうぜHolic!!」、ヒステリカルでサイコティックな演奏が炸裂。『マニキュア』が流れだす頃には、会場中の誰もが理性という言葉を彼方へ吹き飛ばし、熱狂に身を委ね、無我夢中で暴れの渦へ溺れていた。でも、それがこの日の答え。快楽という言葉が指し示す、あるべき姿だ。
本編最後を飾った『Bulbs』では、これまでの熱狂さえも一気に宇宙(空)へと連れ出すよう、美しく壮麗な音色が、火照り切ったHolicたちの気持ちを嬉しく舞い上がらせていた。
アンコールでは、Moranの始まり告げた最初のシングル『ハーメルン』が飛び出せば、ライブの熱狂を描くに欠かせないディスコロックチューン『Party Monster』では、会場を埋めつくしたHolicたちが♪Party Monster♪と歌い叫びながら、永遠に続く絶頂のうねりの中、消えない恍惚に身や心を浸し続けていた。
ヒステリカルな演奏炸裂した『Maybe Lucy in the Sky』。絶叫のパーティ空間導き出すに相応しい、0.2秒ごとに熱狂の波が止まることなく押し寄せるサイコモンスターナンバー『Break the silence』を突き付けた頃には、誰もが荒れ狂い疾走する衝動に飛び乗り、絶叫し続けていた。そこに広がっていたのは、まさにMoranへHolicした宴の空間だった。思いきり床を震撼させ続けた熱狂が、この日のパーティの答えだ。
「最高に素敵なDreamy Partyでした。本当にありがとう。ライブは曝け出しあってこそだろう。これからも、一緒に曝け出しあいながら殺っていこうぜー!」
熱狂の終幕を告げたのが、Moranの新たな動きを示したニュースの数々。夏からMoranは、長期に渡る全国ワンマツアーを行う。この熱狂は、灼熱の暑さと共に、今度は全国に広がってゆく。そのときを、暫し心待ちにしていてくれ。(PHOTO: Dora /TEXT:長澤智典)
7歳の誕生日にMoranが描いた熱狂の宴
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