浜田と山口はこの日が初対面で、浜田のほうから山口に出演オファーをしたという。その理由について浜田は「30数年ぶりのラジオ・パーソナリティだったので、誰かに助けてほしいとマネージメントに相談したら、(浜田と同じ事務所の)斉藤和義さんと山口さんが以前いっしょにラジオに出て、曲も作ったことがあるらしく「ぐっさんなら人柄も良いし、絶対に浜田さんと合う」と言われたので、お願いしてみました」と明かした。
一方で、山口は「最初は(相手を)間違えているのかと思ったけれど、正直、めちゃめちゃ嬉しかったです。今日は楽しみにしています」と、共演を依頼されたときの心境を語った。さらに山口は、持参した自らのライブラリを浜田に見せて、「『J.BOY』は僕らのバイブルですから」と語り、和やかな雰囲気でのスタートとなった。
浜田はその後、40年前の1975年に初めて自分が作った曲がラジオから流れたときのエピソードを披露。「“AIDO”っていうバンド時代、4畳半の小さなアパートに住んでいて、これからデビューするという時期だったので、ラジオから自分達の音楽が流れるかもしれないと思って、ずっと聴いていたんです。そうしたらちょうど今頃の時期、4月の後半に、寝ながらラジオを聴いていたら流れてきて。パッと起きて正座して聴きましたね。それがオールナイトニッポンだったんです。(中略)あらゆるミュージシャンがそうだと思うけれど、自分が作った最初のシングルがラジオから流れる時はみんな大喜びするし、すごく緊張もする。神聖な時間ですね」と語り、1曲目のナンバーとしてAIDOのデビュー曲『二人の夏』をリスナーに届けた。
当時はドラマーとして活動していた浜田だが、その瑞々しい演奏からは、日本のロックシーンの萌芽がたしかに感じられた。その後、番組では浜田にとって10年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Journey of a Songwriter』を紹介。浜田はこの10年オリジナル・アルバムを出さなかった理由について「音楽環境がすごく変わっていった10年で、配信なども始まり、リスナーが曲の単位でプレイリストを作っていく時代になってきた。だからこそ、パッケージにして残しておきたい曲が何曲かあって。いまやるべきこととして、ライブアルバムやベストアルバムを作る10年になった」と説明。さらに、リスニング環境が変わることに対して、ミュージシャンが自ら働きかけることはできないとしつつ、「作っている立場としては、アルバムやパッケージというのはすごく大切なもので、このことは全世界のミュージシャンが同じことを言っている」と、アルバムに対する特別な思いを明かし、『Journey of a Songwriter』のタイトル曲『旅するソングライター』をオンエアした。成熟したサウンドながらも今なおフレッシュさを感じさせる楽曲で、1曲目『二人の夏』から40年の月日が経っても、音楽的探究心を失わないミュージシャン・浜田省吾の姿勢が伺える作品だ。
番組中盤では、山口が『もうひとつの土曜日』の1フレーズをモノマネし、浜田から「上手い」と賞賛される一幕も。山口は「電波で浜田さんのモノマネ披露するの初めてですよ」と謙遜したが、浜田は「これからはギターも弾いてください」と勧め、さらに「矢沢永吉さん、大友康平さん、氷室京介さんとか上手いんだろうなって想像がつく」と、山口のモノマネを称した。
そのほか、アルバム収録曲より、華やかな曲調の『Happy Birthday Song』や、ボコーダー的なヴォーカルエフェクトなども取り入れた意欲的なダンスミュージック『夜はこれから』、しっとりとムーディーに聴かせるスローナンバー『美しい一夜』などがオンエアされた今回の放送。ライブに向かう際の心境や、山口が行っている歌手活動についてもじっくりと語り合い、初対面にも関わらず、番組終了時には二人の間に友情が芽生えたようで、今後音楽を通じた新たな交流もあるのではないかと、期待せずにはいられない幕引きとなった。
なお、浜田は『Journey of a Songwriter』を提げた全国ツアー「SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2015 “Journey of a Songwriter”」を、9月14日の神奈川・よこすか芸術劇場を皮切りに開催。アルバム収録の全曲を披露するツアーとなるとのことだ。(文=松下博夫)
浜田省吾35年ぶりラジオパーソナリティに
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