この夜も相変わらず熱くてエネルギーに満ちたJがそこにいた。が、ステージ上の風景には明らかな違いがあった。1997年当時から彼を支えてきたギタリストの藤田タカシが、昨年末を持って勇退。その後任として、ステージ下手側に仁王立ちしていたのは、2005年から2009年にかけて藤田とギター・タッグを組んでいたmasasucks(the HIATUS、FULLSCRATCH)だった。かつてフランツ・ストールの後任として迎えられた当時も、まるで何年も前からメンバーだったかのような自然さでその場に溶け込んでいた彼だが、そうしたナチュラルさについては今回も同様。上手側でギターを掻き鳴らす“ごっちん"こと溝口和紀とのコンビネーションは絶妙、スコット・ギャレットのドラミングの強靭さについても当然ながら言うまでもない。顔ぶれは変わろうとも、相変わらずこのバンドには他とは比べようのない強力さがある。
ステージは、過去18年の間に生まれてきたさまざまなキラー・チューンを盛り込みながら進んでいったが、中盤に披露されたふたつの新曲の切れ味が素晴らしかったことが、新たな“皆殺しチューン"の誕生を予感させた。
というのも、Jは現在ニュー・アルバムの制作中で、すでに自身のパート以外については録音が完了しているのだという。「3人は終了。あとは俺待ち」と語って笑いを誘っていたが、ソロ名義の作品としては通算10作目のオリジナル・アルバムにあたるこの新作に対し、レコーディングを「慎重に、大胆に」進めているという言葉がとても印象的だった。
そして、9月には約2年振りとなる全国ツアーが組まれていることも明かし、それまでにかならずアルバムを届けると公約して、フロアを歓喜させた。
この6月に開催を控えている『LUNATIC FEST.』も、本年度最大級の話題を集めている昨今だが、その先に描かれている未来図のあり方にも大いに注目したいところだ。
文:増田勇一
J、灼熱の春季ツアー完走! 次作も発表へ
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