昨年10月、渋谷clubasia公演を皮切りに、ラウドシーンで活躍する猛者達をサポートアクトとして招き、約5ヶ月42公演に及ぶロングツアーを行なったギルガメッシュ。
その最終地であり、彼らにとって約1年半ぶりの国内ワンマンライヴとなった新木場STUDIO COAST公演は、ツアーで鍛え上げた昨年9月にリリースされたミニアルバム『gravitation』の楽曲を披露するのみでなく、結成10周年イヤーのラストを飾るにふさわしいステージとなった。
SE『MONSTER』で登場した4人は、手始めに『gravitation』『Go ahead』と最新型のギルガメッシュサウンドを連発。フロアに巨大なサークルを発生させ、そこからも『antlion pit』『Not Found』など、近年接近しているメタルコアサウンドを畳み掛けていく。
それだけでなく、初期曲の『crime-罪-』を披露したり、『Resolution』『睡蓮』『COLOR』といった彼らの特徴でもあるキャッチーなメロディーを活かした歌モノを3連発で繰り出したり、かなり久々の披露となった『sunrise』では、サンバビートとコール&レスポンスでフロアの興奮を更に煽っていた。
また、このツアーで何度か披露した『ALONE』もプレイ。オーディエンスから大音量のクラップとシンガロングを巻き起こして会場の多幸感を高め、それが最高潮となった『Another way』の直後、ヘヴィな『お前に捧げる醜い声』で一気に地獄絵図に塗り替えるなど、さまざまな音楽を貪欲なまでに食らいつくし、自らの血肉にして世に放ち続けている彼らの歴史を総括するかのようなステージが繰り広げられていた。
また、ライヴ中盤では、楽器隊が柔らかく音を重ね合わせる中、左迅がこの10年間を振り返る場面もあった。
「たくさんの夢を叶えることができたし、好きなことをやってきたから、楽しいこともたくさんありました。ただやっぱり、それと同じぐらい、苦しいこととか辛いこともあって。でも、なんで活動を続けてこれたかというと、日本全国に、そして、全世界に俺達の音楽を好きだと言ってくれて、俺達のことを待ってくれてるファンのみんながいるから、今日までやってこれました。本当に感謝しても感謝し切れないんですけど、この10年間、俺達のことを支えてくれてどうもありがとうございます! 永遠なんてこの世にないからさ、人間いつ死ぬか分からないし、バンドだっていついなくなるか分からないからさ、また明日から、お互いに悔いのない人生を、精一杯歩んでいきませんか!?」
フロアから沸き起こる大歓声に応えるように、4人は『Break Down』をドロップ。2008年に発表されたこの曲は、ライヴで必ずと言っていいほど披露されるギルガメッシュの代表曲だ。陽性な響きを持つラウドサウンドに、リズムに合わせて拳を振り上げる者もいれば、軽快にツーステップを踏む者も、クラウドサーフをする者もいれば、楽しそうに身体を揺らす者もいて、オーディエンス達は自分の好きなようにこの曲を楽しんでいた。現状に留まることなく、常に大胆な変化を繰り返し続けて来たギルガメッシュ。
この日集まったオーディエンス達のさまざまなリアクションは、バンドがこれまで辿って来た変遷そのものを物語っていたと思う。そして、賛否両論を怖れずに前へと突き進んできた彼らの生み出した音楽が、ジャンルというある種のクローズドな世界を飛び越え、多くのロックリスナーに愛されていることを力強く証明しているかのようだった。
この日のライヴで10周年イヤーを締め括ったギルガメッシュは、彼らが初ライヴを行なった3月24日に、本八幡Route Fourteenにて、彼らのオフィシャル・モバイル・ファンクラブ「GMFC」会員限定ライヴ「anniversary live "thanks GMFC"」を開催。過去楽曲を多数披露する記念祭を終えた後、結成11周年を祝したワンマンサーキット「-Memories of LIVEHOUSE oneman circuit- 『XI』」を行なうことを、ライヴのMCで発表した。
4月25日(土)OSAKA MUSEからスタートする今回のサーキットは、渋谷DESEOや下北沢ERAといった彼らに由縁のある会場で、11周年にかけた11公演行なうというもの。自身の過去の思い出とリンクさせてみたり、当時と現在のギルガメッシュの音楽を比較してみたり、さまざまな切り取り方で楽しむことができるライヴになりそうだ。また、今回のツアーに関しては、ライヴ中の写真・動画撮影もOKとなっている。
「tour<gravitation>」のアジア追加公演として台湾、香港、上海でのライヴも決定しているギルガメッシュ。11年目へ突入する彼らの勢いはまだまだ増して行くばかりだ。(TEXT:山口哲生/カメラマン:西槇太一)
ギルガメッシュ 10周年イヤーラストを飾る圧巻パフォーマンス
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