さらなる知名度の高まりを受けて、チケットはもちろんソールドアウト。立見席までギュウギュウに人が埋まっている中、アンコール含め全21曲におよぶ熱演が繰り広げられた。
2人の女性コーラスを引き連れてメンバーが白い衣装でステージに登場し、『猟奇的なキスを私にして』でライブがスタート。文字通り、よりファンキーに生まれ変わった“パラレルスペック(funky ver.)”では、アウトロのスリリングなインタープレイから、そのまま『ユレルカレル』に突入するなど、序盤は次々に曲を演奏していく。川谷絵音(Vo&Gt)のもうひとつのバンド、indigo la Endもそうなのだが、最近のライブではMCパート以外はドラムソロなどで曲間を繋ぐのが特徴となっていて、これはただ曲を並べるだけではなく、流れを作ってバンドの世界観にオーディエンスを引き込もうとする意識の表れのように見える。
また、彼らはステージを縦横無尽に動き回り、客席を盛り上げまくるようなタイプの若手バンドとは違い、まずは演奏そのもの、アンサンブルの緻密さをしっかり聴かせようという高いミュージシャンシップを持ったバンドである。最新シングルの“私以外私じゃないの”はクリーントーンのギターによる流麗なフレージングや細やかなカッティング、女性コーラスによるハーモニーをしっかり聴かせつつ、それでいて抜けのいいメロディーが実に素晴らしいし、6月17日(水)に発売されるニューシングル“ロマンスがありあまる”では川谷も鍵盤を演奏したりと、さらなるアンサンブルの強化が図られているようだ。
その一方で、MCパートになると途端にメンバーのユニークなキャラクターが出てくるのもゲス乙女の面白いところで、ちゃんMARI(Key)の決め台詞「コポゥ!」はすっかりお馴染みだし、ほな・いこか(Dr)のMCではグッズの抽選会が行われたり、この演奏とのギャップも彼らの大きな魅力だと言えよう。
また、純粋な音楽ファンとしての一面も顔を覗かせ、休日課長(Ba)は以前野音でtoeを観たこと、川谷は東京に来て初めて観たライブが野音でのゆらゆら帝国とBOOM BOOM SATELLITESの2マンだったというエピソードを披露し、野音に立てた喜びを語ったのも印象的だった。
陽もすっかり暮れて、美しい照明も映える終盤戦では、『ドレスを脱げ』や『餅ガール』といったギターロック色の強い初期の人気曲を続けて演奏し、“アソビ”へ。ラストはアンセム化しているダンスナンバー“キラーボール”で、〈僕は抱き寄せて言ったんだ。「いつもこうやってるの?」〉という歌詞の後半を「Shall we dance?」に変える「しゃべくり007」出演時のネタで盛り上げると、「野音最高!」の言葉と共に、本編が終了した。
アンコールではシングル『私以外私じゃないの』に収録されている『ルミリー』と『But I’m lonely』を演奏。ジャジーなヒップホップトラックといった感じの『But I’m lonely』は、このバンドがまだまだ持ち札をたくさん抱えていることを感じさせる。
その後のMCでは秋にアリーナツアーを行うことが発表され、最後は再びの“キラーボール”!大盛り上がりの中でこの日のライブが終了した。
途中のMCで軽く触れていたことだが、ゲス乙女は今年の5月12日で結成3周年を迎えたばかり。そう、このバンドの歴史はまだたった3年しかないのだ。それでいて、これほどの人気バンドに登りつめたのは、高いミュージシャンシップとメンバーのユニークなキャラクターの奇跡的なバランスによるものであるということを、この日のライブで改めて痛感した。
なお、彼らは6月20日(土)と21日(日)に幕張メッセを会場に「ゲス乙女集会 vol.4 ~幕張編~」を開催。さらに、秋にはアリーナツアー「ゲスチック乙女~アリーナ編~」も決定し、この勢いはまだまだ衰えそうにない。
ゲスの極み乙女。全国ツアー大盛況のうち閉幕「野音最高!」
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