BAROQUE ツアーファイナルでサプライズ発表!

BAROQUEが約2年ぶりとなるニュー・アルバム『PLANETARY SECRET』をひっさげて開催していた全国ツアー<TOUR 2015 『OPEN YOUR WORLD AND SEE THE LIGHT』>が8月14日に東京・TSUTAYA O-EASTにてツアー・ファイナルを迎えた。

20150825-baroque__1_.jpg【クリックで大きな画像】

6月7日からアルバムタイトルにちなんで、各公演名に天体の名前をつけたツアーをスタートさせてから3ヵ月。その間に同世代バンドTHE NOVEMBERSとの2マンツアー<BAROQUE × THE NOVEMBERS TOUR "adbn"(あだばな)>を開催。さらには、アルバムリリースに続けて、アルバム収録曲全9タイトルを完全スタジオライブ映像化した新作映像作品(Blu-ray)『OPEN YOUR WORLD AND SEE THE LIGHT [Moon]』をリリースするなど、あらゆる形でアルバムの世界観を表現してきたBAROQUE。本日のファイナル公演は、その総集編と呼ぶにふさわしい公演となった。

生きていることを全面肯定されたようなポジティビィティと躍動する一つの芸術作品、その2つを同時に味わうような衝撃的なライブ空間だった。これが新生BAROQUEが作り出した様々な表現を音楽に融合させたアートロック。怜(Vo)、圭(Gt)、サポートミュージシャンのTOKIE(Ba)、かどしゅんたろう(Ds)というプレイヤー、PAたちが音の一級建築士となって描き出すサウンドはすでにデザイナーズ・ポストロックといえそうな彼ら独自の領域に突入。ほぼモノトーンのみで構成された、これまで見たたことがないような照明効果。それとリンクする形でサイレントと鬼気迫るテンションの高ぶり、そのウェーブを場内に作り出していく生演奏のなか、オーディエンスひとり一人に癒し、喜びを与えて多幸感溢れる世界へと導いていく怜の歌。これまでのBAROQUEとはまったく別次元のNEW WORLDがそこには存在していた。

今回のツアーで、入り口でまず最初にオーディエンスの視線をとらえたのは、会場ごとにメンバーが来場者に感謝の気持ちを込めて綴ったサイン入り『PLANETARY SECRET』のモノクロのポスターだった。今日はそのポスターがボードに貼ってあり、ライブというよりも、美術館のギャラリーを訪れたような雰囲気を醸し出していた。場内に入ると、ステージの背景は黒いカーテンで覆われ、静謐な音像のBGMが観客をお出迎え。場内がいつの間にか真っ暗になり、宇宙の誰かと交信するようなSEが流れると、黒い衣装で統一したメンバーが暗闇のなか登場。1曲目の『PURIFY』、始まりは圭のギター。天空に輝く星のようにゆらめく単音フレーズの余韻、その光をオートチューンで声色をエフェクトした怜の歌が徐々に地上へと宿していったあと『PLANETARY LIGHT』へ。サウンドとともに、ここでライティングが作り出す圧倒的な輝く世界は、ため息が出るほどの迫力。その世界の目覚めを場内のオーディエンスは笑顔と手拍子で迎え入れ、『DREAMSCAPE』が始まるとフロアは揺れ、歓喜のシンガロングまでわき起こる。洗練されたダイナミックな音の広がり、気持ちの開放。序盤からBAROQUEとオーディエンスはこれまでにはないスタイルで躍動感溢れる場面を作り出す。

「今日は最初から“幸せ"を更新できてる気がする。ひとり一人、誰も置いていかないんで、みんな俺についてきてね」

冒頭から怜がとびきりの笑顔で挨拶。そして曲は『SKY WALKER』へ。心地よく場内に浮遊していく音が織りなす幻想的なワンダーランド。そこで観客の五感をたっぷりとくすぐったあとは、『SWALLOW THE NIGHT』でバンドは静寂からダイナミックなロックゾーンへと曲中に何度もスパーク。シューゲイズな『SILENT PICTURE』『湿度』と緩急をきかせた絶妙なバランスの演奏に五感を委ねて、怜とともに曲の内側へとひたすらダイブしていくライブの空気感は、音でアートを描くBAROQUEの真骨頂。この後『rump』『ヒトのイロ』『exit』と過去曲たちを続けたパートでは、『rump』は怜のフェイクをフィーチャーしたり、『ヒトのイロ』はTOKIEがなめらかに弾く音でソウルっぽいグルーヴを加えたり、『exit』は圭がギターソロをエモーショナルに振り切って弾くなど、どれも現在のモードにリアレンジして披露。過去曲も希望を感じさせるいまのBAROQUEならではの新しい解釈で観客に次々と届け、オーディエンスを魅了した。

「この後は声出していこうか!みんなで一つになろう」

怜の合図で後半はエネルギッシュなロックバンド・BAROQUEへシフト。空気を切り刻むようなギターリフとともにフロアから手拍子が上がったアップチューン『black bane』(未音源曲)が勢いよく鳴り出すと、これまでずっとあった緊迫感溢れる繊細な音の描写から解き放たれ、プレーヤーたちが自由に動き出す。「もっともっと一つになろう。バロッカー(BAROQUEのファンの名称)はこんなもんじゃないよな?」という怜の激しい煽りから、曲は間髪入れずに『ガリロン』へ。フロアはとたんに狂喜乱舞。TOKIEのベースソロがオーディエンスをさらに熱狂させ、続く『Nutty a hermit.』ではかどがテクニカルな激アツドラムソロでフロアを鼓舞。サポートメンバーを入れてのバンドの一体感、さらにはオーディエンスとの一体感、“BAROQUE"との熱いつながりをみんなに十分体感させた後は、ここしかないというタイミングで明るくファンタジックな『teeny-tiny star』をプレイ。この曲が持つポテンシャルを最大限に使って、フロアにいるオーディエンスみんなの笑顔を星のように輝かせ、ステージでは怜がギターソロを弾く圭に近づき、嬉しそうにお互いの額をこすり合わせるなど、場内にいる人全員を多幸感で満たしていった。

「オマエら最高!オマエらと出会えてよかった。本当に生きててよかったって心から思いました。俺の人生ってBAROQUEそのものだけど、死ぬまでこのBAROQUEやっていくんで、みんなも死ぬまで受け取って下さい。じゃあ最後に、俺らと一緒に歌ってくれる?」

怜のやさしい口調の問い掛けから始まったのは至福のバラード『CELEBRATE』。"sing a song for you celebrate/celebrate“、オーディエンスが先に彼らのために歌った後、次はBAROQUEがこの歌をみんなのために歌う。すべての人々が、この空間で出会えたことを共有しあう淀みのない素敵な時間がその瞬間訪れ、体中が幸福感に満たされていったところで本編は幸せな空気に包まれたまま終了。

アンコールに応え、再び姿を現したメンバー。「せっかくだから昔の曲をやろうかな」と怜がいい、勢いよく『我伐道』、『独楽』と昔の人気曲を続けて披露してバロッカーを大喜びさせた。その後は、2人が各々オーディエンスに気持ちを伝える場面も。

「このツアーで自分らしく生きられるようになったと実感しています。みんながこうして一つの場所に集まるのって大変なことだけど、今日みたいに会って、エネルギーを交換して。これから5年、10年経っても、もっともっと共有していきたいと思ってます」(怜)

「1ついえることは、今回のアルバムはファンひとり一人、ステージにいる怜、メンバー、スタッフ、関係者、家族、友達みんなと出会えたからできたってこと。10年前の僕が、こんなこというと誰が想像してたでしょうか(笑)。BAROQUEはいろいろあった。俺らも2人になったときは辞めようとしたの。でも、どこかのタイミングで前向くしかないんだよ。人生何があるか分かんないけど、みんなには楽しく生きて欲しいんだよ。楽しく生きるにはいろいろ越えなきゃいけないハードルもあるけど、一緒にやろうぜ!どんなときでもやれるんだよ!“いまに見てろ"って気持ちで。約束したからな?約束したこと、叶えよう」(圭)

圭が熱いメッセージで締めくくった後は、再び怜がマイクを持ち「BAROQUEとみんなの次の約束は」といいながら、12月25日にSHIBUYA VISIONでライブを開催することをサプライズ発表。バロッカーを驚かせた。その後、彼らは静かに『ORIGINAL LOVE』の演奏を始め、溢れんばかりの愛をバロッカーたちに注ぎ込んでいった後、『MEMENTO』で最後を迎えた。緊張感に包まれた繊細で厳かな演奏が段々と天空まで登りつめたあと、地上へと降り注ぎ始めるとそのプレイはどんどん生々しさを増し、気迫るパフォーマンスへと変貌。生身のBAROQUEで生命の誕生、生きることを音楽を通して賞賛していった。生命の息吹を照らす太陽のように、このときだけライティングが赤い光を灯したのも見事な演出だった。アート表現を駆使してステージを、音楽を創り上げながらも、その根底にあるのは生きることを讃えたメッセージなんだということをライブの余韻としてオーディエンスに刻み込み、この日の公演は幕を閉じた。

ライブ終演後には来場者全員にBAROQUEからポストカードが配布された。驚いたのは、スタイリッシュに、すべてをモノトーンで統一してきたこれまでのビジュアルが、カラーに変わったこと。淡いピンク色のバラの花束をタイトルバックにしたポストカードには、12月25日に行なう単独公演のタイトルが<GOOD MORNING BOYS AND GIRLS>であることも書かれていた。さらに、この花束のアートワークをカバーにほどこした公式BOOK『SYZYGY』(A4版・横サイズ・本文72P)もこの日会場で緊急発売。今後は通販で発売されるということなので、12月25日の単独ライブまでに、こちらの本もじっくり楽しんでもらいたい。

2015.8.14@TSUTAYA O-EAST

撮影●メトロ。


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