この日は朝から雨が降ったり止んだりと不安定な空模様で、開催が危ぶまれる中、会場に集まったファンの思いが通じたのか、開演前には雨が降り止んだ。心地よい潮風にさらされながら、バンドメンバーが登場し演奏がはじまる。聴き入っていたのも束の間、最新曲『夢見る隙間』のイントロが流れ始めると会場が一気に沸いた。
8月11日に終えたばかりの全国ツアー『Love Like Rock vol.7』中にリリースされた新曲だが、4ヶ月のツアーを終えて一気に、ライブで盛り上がること必須な人気曲へと押し上げられたといっても過言ではないだろう。この曲のイントロが流れれば、自然と手があがり、飛び跳ね、歓声があがる。そこにaikoがステージ中央にポップアップで登場し、会場のボルテージは一気に最高潮へ。一曲目を終え「みなさんこんばんは!aikoです!」と挨拶もさながらに激しいロックナンバー『Loveletter』へ。
続く『ボーイフレンド』では客席に伸びる50メートルもある花道を進みファンとの距離はさらに近いものに。「この会場にいる皆さんに感謝を込めて”お中元”をお届けしたいと思っています」と話し、『オレンジな満月』『キラキラ』『夢のダンス』と続く。
長い花道を行き来するaikoに手を伸ばす観客が応える。後ろのみんなまで届きますようにと披露された『KissHug』では、ピアノの弾きはじめと波の音がマッチし、一時会場が静寂に包まれ、幻想的に歌うaikoの姿が、ステージ横に設置された巨大スクリーンに映し出される。その美しくも妖艶な姿に見惚れるのも束の間、そこから怒涛のメドレーへと突入。
リズミカルに『beat』からスタートすると『彼の落書き』『あなたの唄』と盛り上げる。ボサノヴァ調にアレンジされた『恋のスーパーボール』のサビでは花道の先にあるセンターステージで回転しながら歌ってみせ、会場からは思わず歓声があがる。さっきまで歌い踊っていた会場が、思わず息を呑み聴きいらずには入られない『カブトムシ』。さらに『Love Like Aloha』恒例のサザンオールスターズのカバー曲は『エロティカ・セブン』を披露し、会場はさらに盛り上がりが加速。そのまま『運命』へとなだれ込み、メドレーのラスト『花火』へ。サビに合わせて会場中が大きく手を振り、真夏の定番曲にオーディエンスはひとつになる。
aikoのライブの醍醐味、ファンとのコールアンドレスポンスでは、恒例の「男子~!女子~!そうでない人~!」に加え「マンション!」「海の家!」と茅ヶ崎中をaikoのライブへと誘い一気に後半戦へ。『どろぼう』に続き『be master of life』では大サビで火花がステージ上に打ち上がる。再びMCで会場を煽りながら『鏡』では「OK キミをガン見さ」と、3万6千人の会場が大合唱。
畳み掛けるように『あたしの向こう』で何度も会場を駆け抜ける。途中から雨がパラパラと降り始めるが照明が雨粒をキラキラ照らし、それもまた美しい演出の一部になったようにさえ思える。「17年、デビューして経ちましたが、これから先もみんなと一緒に年をとっていけるようにみんなでおじさん、おばさんになって、アホな時間を過ごしましょう」と感謝を述べ、最後に『シアワセ』を熱唱し幕を閉じた。
全13曲を歌い終えてaikoがステージを後にすると、ステージ後方からはこの夏の最後を彩る1500発もの花火が打ち上げられた。会場に訪れた3万6千人の心にはこの夏最後の最高の思い出として深く刻み込まれたであろう。
カメラマン
岡田 貴之(Takayuki Okada)
aiko 3年ぶりフリーライブに過去最高の3.6万人!
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