2015年が明けた。昨年、韓国の音楽界はセウォル号沈没事件の影響などで、例年に比べて非常に厳しい一年間を過ごした。今年も昨年と同様に、音楽界は順調ではないだろうというのが業界の見方である。この難局を打開していくためにはどんな妙案があるだろうか?2015年、K-POP及び韓流、音楽界、音楽フェス、音楽配信サイトなど音楽業界の全般にわたってどんな動きが予想されるのか、10asiaが業界関係者に直接話しを聞いてみた。
アンケートに応じてくださった方々
キム・ミンギュ(Electric Muse代表)、キム・ビョンチャン(FLUXUS MUSIC代表)、キム・シデ(STARSHIPエンターテインメント代表)、キム・ユンハ(音楽評論家)、キム作家(音楽評論家)、キム・ヒョンス(MAGIC STRAWBERRY SOUND代表)、キム・ホンギ(Daum Kakao部長)、ノ・ヒョンテ(CUBEエンターテインメント副社長)、パク・ジュンフム(大衆音楽SOUND研究所長)、パン・シヒョク(Big Hitエンターテインメント代表)、シン・ヒョングァン(Mnet常務)、アン・ソクジュン(CJ E&M音楽事業部門代表)、イ・セファン(ソニー・ミュージック次長)、イ・ヨンシク(ユニバーサルミュージック理事)、イ・ウンミン(パステルミュージック代表)、チャン・ジュニョン(KT MUSIC本部長)、チョンウク(JYPエンターテインメント代表)、チョ・ジェユン(NAVERコンテンツマネージャー)、チョ・ヘウォン(ワーナー・ミュージック課長)、ハン・ソンホ(FNCエンターテインメント代表)、ハン・イクス(VUエンターテインメント)、ホン・スヒョン(MBC MUSIC局長)
「土曜日、土曜日は歌手だ」の効果は?
1990年代を風靡した人気歌手たちが集結したMBCのバラエティ番組「無限に挑戦」の「土曜日、土曜日は歌手だ」特集でのブームは、音楽界のトレンドに大きな影響を与えられないという見方が支配的だ。キム・ユンハ音楽評論家は「『土曜日、土曜日は歌手だ』が今最もホットなキーワードとして扱われているが、音楽市場のトレンドを揺るがすほどの影響力は発揮できないだろう」と予想した。ある音楽関係者は「話題になってはいるものの、一種の“思い出売り”として見られるため、1990年代の文化を享受していない新しいファン層を虜にするのは難しい」と話した。CJ E&M音楽事業部門のアン・ソクジュン代表も「『土曜日、土曜日は歌手だ』特集は、1990年代の音楽がテレビ番組のコンテンツと上手く組み合わせられた良い例として見た方が良い。これだけで1990年代の文化に魅了された消費者層が生まれたと見るのは難しいだろう」と分析した。
「土曜日、土曜日は歌手だ」特集が音楽業界に影響を与えにくい理由について、パク・ジュンフム大衆音楽SOUND研究所長は「なぜなら、地上波の番組は、基本的に音楽市場を育成することを念頭に置かず、番組を企画するからだ。地上波放送で1990年代の音楽は、一時的なエンターテインメントの題材に過ぎない」と話した。パク・ジュンフム所長は「例えば、数年前に旋風を巻き起こした『私は歌手だ』ブームが今まで続いているのか?もう一度、念頭に置くべき点は、地上波放送の番組は、音楽産業ではなく、エンターテインメント産業の領域にあるという点だ。この2つはお互いに理解が異なるため、番組を活用して音楽市場を育てるという考え自体が限界を内包している」と伝えた。
ヒップホップ&歌謡曲…コラボレーションの継続
それでは、2015年にはどんな音楽トレンドが主流になるのだろうか?まず、歌手チョンギゴとSISTARのソユが一緒に歌った「SOME」のようなコラボレーションは、ある程度継続すると予想されている。STARSHIPエンターテインメントのキム・シデ代表は「昨年、いわゆるコラボレーションや各チームの特定メンバーが結成したユニットなどの成果が大きかったため、このような動きはさらに拡大するだろう」と話し、「特に、様々なジャンルが組み合わせられることで、新しい形式の音楽とまったく大衆的ではなかった分野の音楽が注目されるようになる。だから、コラボレーションは色んな面で良い相乗効果を生み出すことのできる手段だ」と説明した。
ヒップホップと歌謡曲の組み合わせもまだしばらく間、強い勢いを見せるという予想だ。Big Hitエンターテインメントのパン・シヒョク代表は「ヒップホップの強い勢いは韓国だけの傾向ではなく、EDMに対する全世界的な反動の一つとして把握しなければならない。そのため、2015年にもヒップホップの熱気は簡単に収まらないと考えられる」と予想した。続いて、「むしろ、これまで難しいジャンルとして捉えられていたヒップホップが、『SHOW ME THE MONEY』を通じて一般の人々に紹介された。正統派のヒップホップジャンルの音楽と、大衆を対象にする歌謡曲がお互いに相互作用して、より豊かで多彩な結果を生み出すものと期待される」と伝えた。
一方、ヒップホップブームはすぐに収まる可能性があるという声もある。ある音楽関係者は「実際にヒップホップ界で盛況にうちに単独公演を開催しているのは、Beenzinoらが所属するILLIONAIRE RECORDSぐらいだ。彼らは確実なファンダム(特定ファンの集まり)を持っているためだ。その他のアーティストの場合は、人気がバブルにとどまる恐れもある」と話した。
「SUPER STAR K」などオーディション番組の威力は変わらない
昨年復活した「SUPER STAR K」などのオーディション番組の威力は、今年も続くという見通しだ。Mnetのシン・ヒョングァン常務は「『SUPER STAR K』『SHOW ME THE MONEY』の周期を見ると、前のシーズンにヒットしたコンテンツが次の年も続いてヒットする。昨年のクァク・ジノンのように、この番組を通じて多様なスターが登場すると考えられる」と予想した。FLUXUS MUSICのキム・ビョンチャン代表は「オーディション番組が成功を続ける理由は、番組を通して排出されるシンガーソングライターが大衆のニーズに合致するためだ」と説明した。
音楽とバラエティを組み合わせたフォーマットの他に、積極的に音楽を紹介する番組も増える見通しだ。MBC MUSICのホン・スヒョン局長は「私たちは徹底的に音楽がベースとなる番組を多く試みるつもりだ」と話した。続いて「アイドル、ライブミュージシャン、トロット(韓国の演歌)など、各年齢層が好みに合わせて楽しめるような番組を計画している。リアリティなどの番組はもうたくさん存在して限界がある。今は音楽を中心に置いて、それに少し味付けをしたスタイリッシュな番組が、視聴者の人気を集めると思う」と予想した。
主導権は誰が握る?
2015年にも多くの歌手がカムバックを控えている。果たして2015年、音楽界の主導権は誰が握るようになるのだろうか?キム・ユンハ音楽評論家は「昨年は1990年代の大型歌手から大人気のアイドルグループまで、大勢の歌手がカムバックしたが、そのうち誰も主導権を握れなかった。このように絶対的強者がいない状況は、当分続くものと見られる」と話した。
キム・シデ代表は「現在、韓国の音楽市場で生き残るためにはアーティストが休まずに活動しなければならず、これによって“音源の洪水”と呼ばれるほど、多くのコンテンツが殺到している。今は多くの人が注目する“A級歌手”の新曲が、1週間の間に数曲リリースされる」と話し、「このような“音源の洪水”や音楽配信サイトの定額制システムにより、リスナーがこのようなチャートの周期に慣れた点も見過ごしてはならない問題だ」と語った。続いて、キム・シデ代表は「企画者は良質のコンテンツを作り出して、大衆も“ファストファッション”のように音楽を消費してしまうのではなく、文化の一部として楽しむ余裕と眼目を持つ成熟した消費心理が必要だ」と話した。
元記事配信日時 : 2015年01月08日06時51分 記者 : クォン・ソクジョン、写真 : 10asia DB、翻訳 : ナ・ウンジョン
【2015年音楽界の展望 Vol.2】1990年代の懐かしの音楽ブームは続かない 10asia
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