センターを飾る指原莉乃と言えばだれもが『恋するフォーチュンクッキー』を思い浮かべるのでは。この楽曲、発表当初は賛否を巻き起こしながらも結果的にはAKB48を代表する、ひいては2010年代以降のアイドルソングを代表する1曲になりました。
その指原が二年ぶりにセンターに返り咲いたとなれば、おのずと次の総選挙楽曲に対して、「第二の『恋チュン』」という期待をかけたくなるのが人というものです。ネットでは放送前日に『サイケデリック・サーカス』にタイトルはなる!指原はピエロに扮する!というネタが出回り(あながち大ハズレでない…)、あーでもないこうでもないと思慮をめぐらす流れが見受けられました。それだけ注目され、熱量が高まりきったところでの本放送、果たして『恋チュン』に匹敵する名曲が生まれたのでしょうか…。
歌詞の内容はAKB48楽曲の王道でもある「キミとボク(ワタシ)」の物語を軸にしながら、「10月31日の夜を楽しもう!」というシンプルなハロウィン讃歌。今までの総選挙楽曲では、センターメンバーにスポットを当てたかのようなドラマ性を感じさせる内容(特に『恋チュン』では色濃く表れてました)とかけ離れた、耳にスッと馴染むシンプルなフレーズが連なっている印象です。起伏に富んだ世界というよりは、小難しさを排除して素直に楽しみだけを伝えるような言葉選びに注力した印象。「大衆性」を大切にする秋元康氏の本領が最大限に発揮された歌詞ではないかと思います。
サウンドに関しては、オーセンティックな70~80’sのディスコ歌謡な仕上がり。『恋チュン』はもちろんのこと、『Dear my teacher』や『ディスコ保健室』(こちらはSKE48楽曲ですが…)という隠れたディスコティークな名曲もあるように、AKB48グループとディスコとの相性はバツグンです。作曲はお馴染の井上ヨシマサ氏。作品世界をガラリと一変させる転調を得意とする氏としてはかなり正統派の作りですが、淡々としたブリッジ後にCメロで急激に切ない展開を迎えるくだりはさすが匠の技。ただ『恋チュン』がマイナー、メジャーがバランスよく配置されたことで多幸感を作り出していたのに対して『ハロウィン・ナイト』は全体的に泣きメロが強めとほろ苦さが際立っています。その辺りはさすがにハロウィンを題材にしている部分の表れでしょう。
『恋チュン』同様、振付はパパイヤ鈴木氏。サタデーナイト・フィーバーなポーズから、モンキーダンスも取り入れていて、楽しく踊れそうな点は『恋チュン』同様ですが、ツーステップを多用し老若男女誰もが軽快に踊れた『恋チュン』に比べると、今作はBメロから急激にステップが複雑になっている印象です。ただフックの強さは『恋チュン』同様ですので、今後は『恋チュン』同様に踊ってみた動画が多発する気配を感じさせます。
当初に予想された「第二の『恋チュン』」とはだいぶかけ離れてはいるものの、また違った形で多くの人に愛される楽曲が誕生したという印象です。
ハロウィンまでまだ時間もあり、時期的に世界観がしっくりこない感もあるとは思います。ただ、『恋チュン』が長い時間をかけて浸透していったように、『ハロウィン・ナイト』もこれから時間をかけ、ハロウィン本番の季節には多くの人の耳に馴染んでいるのではないでしょうか。
写真=(C)AKS
(田口俊輔)
【AKBグループその他の記事はクリック】
AKB48楽曲ラインナップは【クリック】
AKB48「ハロウィン・ナイト」は第二の恋チュンになれる?
0 Response to "AKB48「ハロウィン・ナイト」は第二の恋チュンになれる?"
コメントを投稿