王道的展開に加え、頂点を目指す少女たちの戦いが、実際の総選挙や選抜を巡り互いがしのぎを削る姿と重なるような、虚実入り乱れた展開が大いに受け、ファンが熱狂したのはもちろん、「マジすか新規」という作品を通じてファンになったファンが続出するほど「マジすか」はAKB中毒者を多く生み出してきた。まさしくAKB48の歴史を語る上でも外せない、大きなコンテンツのひとつだ。
この作品を語る上で外せないのがメンバーの「演技力」。演技未経験者が多い作品のため、過去作では番組開始前に必ず「このドラマは、学芸会の延長であり、登場人物の一部に、お見苦しい(?)演技がございますが、温かく見守ってご覧いただければ幸いです」といった断り文句が出ていたほどだ。しかし、当初不慣れだった演技に彼女たちが「マジ」で取り組むことで、回を重ねるごとに上達した姿を見せていく様は感動的。「マジすか」にはAKB のコンセプトである「成長過程を楽しむ」が凝縮されていと言ってもいい。
しかも、「マジすか」を通して演技に目覚めるメンバーも多く、1、2の主演を務めた前田敦子、ライバル役の大島優子はもちろん、時に主役すら食ってしまう存在感を発揮した松井玲奈や渡辺麻友は、みごと主演ドラマを勝ち取ってきた。他にも映画「マンゴーと赤い車椅子」で初主演を務め、女優・三田佳子から演技を絶賛された秋元才加など、演技派メンバーの登竜門としての役割も担ってきたのだ。
前作から実に約3年の時を経て今年復活した「マジすか学園4」。次世代メンバーを中心に新たな世界をスタートさせた今作で、これから女優として開花していきそうな輝きを放つメンバーをピックアップしてみた。
ドラマ初出演にして主役・サクラを任されたHKT48の宮脇咲良は、語気が固く朴訥としたセリフ回しの印象だが一本気な性格というサクラの設定が、本人の生真面目さとオーバーラップしているので違和感なくハマッた印象。大きく見開いた眼が次第にすわっていく瞬間に見せる殺意も中々。殺陣の立ち回りのキレもするどく、主役として申し分ない姿を見せている。
もう一人の主役、ソルト役の島崎遥香。セリフの少ない役柄のため雰囲気と顔で語る演技に注力しなければいけない、ある意味難しい役に挑んでいるが、不敵な笑み、全く瞬きをせず常に淀んだ瞳が厭世感を演出しており、頂点に君臨するキャラとして相応しい存在感を示している。「私立バカレア高校」「ATARU」等、過去に彼女が積んできた経験をいかんなく発揮した演技にしょっぱさは皆無だ。学園最大の勢力・ラッパッパ四天王はそれぞれに個性が強く、マジック役・木崎ゆりあのふてぶてしさは見もの。さすがなのは川栄李奈。「ごめんね青春!」でのヤンキー少女役がハマッていた彼女の演技は、蓮っ葉でちょっと頭が弱いバカモノ役にピッタリ。特に4話で見せた、終始周りを引っ掻き回すブチ切れぶりには拍手。
学園内の抗争を見守るチーム火鍋では、ドスの効いた声が中々サマになっているクソガキ役の大島涼花、回を重ねるごとに味のある演技をみせてきているウオノメ役・高橋朱里が、いい味を出している。
不気味な存在感を醸し出すライバル校の「激尾古高校 看護科」。総長・アントニオ役のNMB48山本彩の風格は圧巻。だが、ここで一番目を惹くのはKY役のSKE48谷真理佳。セリフ回しの滑舌の良さと抑揚、アントニオの言葉にイチイチ身体が反応する細かい仕草まで、誰が見てもうまい!と思わせる説得力を持った演技を披露。HKT48 によるドラマ「ツナガール」「秘密」、そして「あるあるYYテレビ」の“演技力でダマしまショー”で披露した、細かいところまでいきわたった自己演出の上手さは見事。演技力は「マジすか4」随一のレベルにあると言ってもいいほど。
そろそろ物語も中盤。敵味方入り乱れ熱い展開を見せていく中、成長していく彼女達の演技、表現力も一層の輝きが増している。ここから次なる新たなスターが生まれる予感がひしひしと感じられ、これからも楽しみでならない。(田口俊輔)(C)AKS
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マジすか学園4に見るAKB48次世代女優メンバーの胎動
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