今回、片平里菜に千葉県幕張にあるエピフォンも数多く飾られている、ホットラインミュージックショールームにて、ギターに囲まれながらインタビューを敢行した。
インタビュー中、実際にショールームのエピフォンギターを、相性が良いBugeraのアンプに通して演奏をした。
片平里菜
すごい!エレキっておもしろい!ソロとか弾けたら楽しそう!
-どうですか、実際にエピフォンを弾いいてみて。
片平里菜
パワーコードとかで曲を作ってみたいです。しかも、このコード「KAMINARIケーブル」ですよね!
-そうなんです、今日はショールームのスタッフが完全に片平さん向けに機材を用意してくれました。
片平里菜
ああ、弾いていたらエレキ熱に火がついてきた!今度は、エレキで曲を作りたいな。
―そして、今日はBugeraのアンプが2種類用意してあるのですが、どちらかを片平さんにプレゼントします!
片平里菜
ええ!本当ですか?ありがとうございます!なんか、最近いいこと続きで、怖い!じゃあ、どっちが私に合っているのか、ちょっとスタッフに聞いてもいいですか?
-どうぞどうぞ。
片平里菜
こっちの初心者タイプにします!わたしには、まだつまみが一杯だと使えこなせないだろうからって(笑)。わー、エレキも使うツアーとかもやりたい!
-良かったですね。さて、いま話に出たツアーです。ワンマンツアーが始まりますが、意気込みは?
片平里菜
今回バンド編成でのワンマンツアーは、今回で2度目なので、より質の高い演奏を聴かせられたら嬉しいです。
―片平さんのLIVEを見ると、伝える気持ちが強く感じます。
片平里菜
ですね。気持ちは強いかもしれないですね。
―路上での弾き語りとライブハウスで行うライブは違いますか?
片平里菜
ライブハウスはどちらかというと「空間」なのでライブハウスっていう箱で、自分の声を発することで全部自分の空間になるし、それをみんなで共有する感覚です。路上はもうとにかく流動的な中で、その瞬間をどれだけ伝えられるかって感覚で歌います。路上は本当に瞬間、出会いって感じです。ライブハウスでは、どんどん仲良くなって距離を近づけていくという感じです。
―路上で片平さんのファンになって、ライブハウスに来てくれたファンはいますか?
片平里菜
結構います。昔、路上でやってたときのお客さんが今でもライブハウスに来てくれてるってことも多いです。あと、路上でやっていてよかったことがあって、声量はすごく上がりました。
―路上だと声量がないとかき消されちゃいますからね。
片平里菜
「伝える力」っていうのは、やっぱり影響したと思います。わたしのLIVEは、荒々しいかも(笑)。
―荒々しい?
片平里菜
荒々しいっていうか、激しく動くことはあまりないんですけど、声に出ますね。結構。
―迫力?
片平里菜
迫力っていうのかな?感情的になっちゃう。
―ツアーは、6カ所、東京・名古屋・大阪・福岡・仙台・福島を周り、地元も含まれますが、気になる場所は?
片平里菜
どこも同じかなあ。
―福島とか仙台とか特別な想いはない?
片平里菜
地元贔屓とかしたくないな、今回は。なんか地元と言っても知らない人も半分以上いるわけだし。なんで、もちろんどこの場所でも同じ気持です。全部見て欲しいです(笑)。でも、やっぱり地元と、東京はちょっとは他より特別かもしれないですね。
―編成が?
片平里菜
編成もだろうけど、そこでやる意味っていうのでまた違うかもしれないですね。
―東京の生活がまだ落ち着かないとのことでしたが、東京は慣れました?
片平里菜
でもだいぶ落ち着いて慣れてきました。一人暮らしをして約半年になります。引っ越しも一人暮らしも初めてだったんですが、自分のことを自分で出来るっていうのは精神的に落ち着きますね。
―好きな街とかありますか?
片平里菜
いま住んでる街がすごい居心地が良いです。好きな街…でもどこも同じに感じちゃいます。ライブで行くような場所とかは。なんか駅前とかもすごい似てるし。
―東京にきて大きく変わったことは?
片平里菜
食生活はガラッと変わりましたね。お母さんのご飯じゃないし、なんだろう、全部変わったからなあ…。ずっと通いで月の半分くらい東京に来ていたので、街自体に戸惑うことはほとんどないんですが、まあ生活の面ではほんとにマイペースに過ごしてます。好きなときにお風呂入って、好きなときにご飯食べてる感じです。
―ご飯は自分で作るんですか?
片平里菜
最近ずっと作ってなかったんですけど、最近またやろうかなって。
―作るのは嫌いじゃない?
片平里菜
うん。別に得意でもないんですけど。ちゃんとしなきゃ!と思って。
―でも生活がちゃんとしてると音楽にもちゃんと出ますもんね。
片平里菜
かなあと思って…あ、最近、通いたいところがあるんですよ!ゴールデン街が面白いなと思ってます。ゴールデン街すごい面白いなと思って。ちょっと通いたいなあって思ってます。
―通っちゃいます?何回か呑みに行ったことは?
片平里菜
1回だけ行ったのですが、ここは面白いなと思って。ちょっと今まで新宿は苦手だったのですが、面白いとこ見つけた!と思いました。
―お酒は強い?
片平里菜
お酒は全然強くないんです。あんまり呑まないんですけど、そういう場は好きですね。
―そういうところでインスピレーション涌いたりします?
片平里菜
なんか、大体音楽仲間と行くことが多いんで、そこで一緒に曲作ったりとか。酔っ払いながら(笑)。純粋に仕事じゃなくて音楽楽しめる場所だったりするから、やっぱりリフレッシュ出来ますね。
―仲の良いミュージシャンは?
片平里菜
誰だろう?なんか、すごいハードコアとかパンクスの人たちとの交流が多いです。仲が良い…と思ってくれてるかは分からないですけど、居心地が良いんです。皆さん素直で裏表がないので、一緒にいて楽です。
―意外ですね。
片平里菜
なんか精神的な部分でつながるんでしょうね…反骨精神だったりハードコアの精神だったりってとこで通ずるものを私は感じています。
―ちなみに、LIVEには10代のファンが多いんですか?
片平里菜
多いですね。出身が閃光ライオットだったりするので…私も音楽の前では嘘のないように表現していきたいと思って演奏をするので、そこに共感してくれてるのかなーって思います。10代の頃が一番心がグラグラしていて。精神的にも不安定な時期だと思うので、そういう多感な年頃の子達にいっぱい聴いてもらいたいです。絶対その時期に聴いた音楽って、その後の人生にずっとついてくるものだと思うので、そんな時期にわたしの音楽に出会ってもらえたらなあって、いつも思ってます。
―ファンと対話したりするんですか?
片平里菜
ラジオの企画の中で、電話で喋ったりとかライブ終わった後、運が良ければ話せたり。サイン会でちょこっと喋ったりするくらいですけど。面白い、今の子(笑)。
―面白いですか?
片平里菜
しっかりしてるなって。
―しっかりしてるんですか?
片平里菜
うん。良い意味でも悪い意味でもしっかりしてるなって思っちゃう。
―片平さんはハードコア、パンクに通ずるということは結構自由ですもんね。
片平里菜
はい、自由ですね。
―自由な自分からするとだいぶみんなしっかりしてる?
片平里菜
しっかり…うーん、地に足がついてるって感じです。ちょっと現実的。現実的っていう言葉はあまり良くないかもしれないけど。
―時代かもしれないですね。
片平里菜
そうですね。
―歳としては近いですもんね。
片平里菜
まあ、似た人種なんだろうな(笑)。だから共感出来るのかなって思うけど。
―10代の子が片平さんの曲を聴いて自分も楽器やってみたいとおもったら良いですよね。
片平里菜
嬉しいですね、それは。本当にわたしの曲を聴いてギター始めなくても歌始めなくても良いんですけど、なんか自分の道を見つけてもらえたら嬉しいし、それが歌とかギターとかだったらなおさら音楽に貢献出来た気持ちになるのですごい嬉しいです。実は、カヴァーしてくれる人が多いんですよ。
―動画サイトでカヴァーしてる動画が上がったりしてますね。
片平里菜
あ、本当ですか!内心焦りますけど、そんな早くから始められても…追い越されちゃう(笑)。はやりのギタ女がまた増える!
―ギタ女とかって気になります?
片平里菜
あんまりくくられても、そんなにシンパシーを持てるアーティストさんがそこにいるかっていうのはまた違う問題で。
―おおざっぱですもんね。ギターで弾き語りしてればギタ女なのか。
片平里菜
うーん…ギター弾いてる女の子でもかっこいいなあって思う子もいるし、いや別に、っていう子もいるし、色々かなあ。あんまり私は別にギターにとらわれて歌ってるわけじゃないから。そんな気にしないでやってます。
―ギターを持つ女の子はかっこ良く見えます。
片平里菜
なんか意志の強さを感じますよね。二本足で立ってガアーッて弾いてると。なんかそんな感じがして。わたしも海外の女性アーティストを聴いて、憧れてギター持ったんで、なんかあっちの人って全然媚びないじゃないですか。歌詞とか。放送できないような歌詞歌ったりとか。そういうところがやっぱりかっこいいなあって思いますけど。
―アラニスモリセットとか好きなんでしたっけ?
片平里菜
アラニスも好きですね。
―主張が強い曲って、物議を醸したり自分に返ってくるモノも強いと思います。
片平里菜
そうですね。そういう一面もあるけど、わたしはもっと深いところで人と繋がりたいんで、あんまり当たり障りのない曲よりはちゃんと核心を突いた曲にしたいなって思います。女の人のすごいメランコリックな部分とか、ヒステリックな部分とか、普段出せないような部分を表現してる方っていうのがすごい好きで。それが多分アラニスとか。あとパティスミスとか。
―パティスミス激しすぎますもんね。
片平里菜
でもあの人なんかめちゃめちゃ少女な部分があるのが私は好きなんですけど。
―パティスミスも好きなんですね。
片平里菜
大好きです。なんで、とにかく芸術家が良いです。ミュージシャンなんでしょうけど、表現することにこだわったりしてるところが好きです。
―片平さんも、音楽以外の表現も考えたり?
片平里菜
本当アートが大好きなんです。パティスミスが好きなのも、ミュージシャンだけど、どっちかっていうと詩人だったりとか絵描きとか…そういう印象のが大きいんで、そういうところが私は好きです。
―パティスミスは年齢的にはタイムリーではないですよね?
片平里菜
最近好きになったんですけど、きっかけは自伝を読んで。
―お父さんとかの世代ですよね。
片平里菜
ですね。60、70年代のものが結構好きで。その時代のロックとか。ちょっと憧れますね。
―自分の作品作りにも生かされる?
片平里菜
生かされますね。多分精神的な部分だったりするんですけど、メロディとかは昔の人のメロディが好きなんで、そういうとこからインスピレーションもらって、あとはアレンジだったり音のことは最近の音楽も聴いたりはするんですけど、歌詞もちょっと古い感じが好きですね。
―歌詞はこだわってるところはありますか?
片平里菜
元々、言葉を書くのが苦手過ぎて…洋楽ばっか聴いてたんで、洋楽は和訳を見てたから、すごい片言な歌詞しか書けなかったんですけど、でも、だからこそ綺麗な言葉選びをしないで済んだというか、自由に歌詞をかけるようになったのかなあと思います。歌詞ってフォーマットがあって、美しい形があったりするじゃないですか。そういう部分は、あまり気にしないで、譜割も気にせずに書いてるんで、そこがやっぱおもしろいのかなあと思います。
―10代の子が『amazing sky』を聴いて音楽の良いところを感じ取れると良いですね。
片平里菜
そうですね。流行を追っていないと思ってるんです、自分のやっている音楽は。ずっとずっと聴いて一緒に成長してくれるんじゃないかなって思います。みんな。
―自分が表現するものを聴いてもらったり見てもらったりするのは大事だと思いますか?
片平里菜
知ってもらったりとか、表現すること…もちろん会社に所属してるんで、気にします一応。ただ、自分の欲は残したいって気持ちが強いです。ただその時その時感じたことを自分のためにもだし、次の世代のためにもだし、何か残したいっていう気持ちはすごい強いです。
―若手のシンガーソングライターで「次の世代に」と言葉にするのは珍しいですね。
片平里菜
多分、頑張らなくても繰り返されるんです、音楽も歴史も…。そこで変えていける人に憧れて。それがアラニス・モリセットだったり、パティ・スミスだったりっていう強い女性に憧れてる理由の一つだと思うんです。
―ファーストアルバム出してツアーもしてこれからどこかで流れを変えていきたい?
片平里菜
メジャーっていう土俵にアングラの精神がもっと出せたらいいなと思います。メジャーに「空っぽなもの」ばっかりあってもつまらないですから。
―素晴らしいと思います。
片平里菜
いえいえ、全然ですけど。ただ、TOSHI-LOWさんとも話したのですが、やるからには紅白出たいねって。
―片平さんが紅白出ることでやっぱり流れは変わると思います。
片平里菜
普通の田舎娘が紅白で福島の空を届けて…届けられることの意味を知っているんで、多分そういうこと言ってくれると思うんですけど。
―震災を受けて、「福島」とセットになっていると感じる部分はありましたか?
片平里菜
あります。避けては通れない震災のことは、やっぱり本当に生活の一部だったんで、普通に生活してても震災、原発って言葉は飛び交ってたし、しかも私も思ったこと感じたことそのまま曲にしたいと思っていたんでそういうのは曲の中にも影響したし。なんかでもやっぱり福島の人が発信していくことに1番意味があると思う。
―そのとおりだと思います。
片平里菜
あと我慢強い人が多いと思うんですよ、東北って。だからどんどん表に出て行って欲しいですよね。本当にパンクな精神、反骨精神じゃないですけど、もう、なめるな!という精神で、やってけたらなあと思いますけど。
―それは背負うとかどうこうの問題ではなく?
片平里菜
等身大です。
―それは自然なことなんですね。
片平里菜
本当に自然体で。活動させてもらってます。曲もライブも。
―片平さんを通してでもいいですし、自然なことで広まっていくといいですね。
片平里菜
「ライブハウス大作戦」とかも参加させてもらって、なんかやっぱり居心地良いし、私にとって支えでもあるんです。みんな同じ方向に向いて活動してる人がいるっていうのは…なんかちょっとぶれてるなあと思ったら会いに行ったりして。
―では、最後にファンに向けて一言お願いします。
片平里菜
これからたくさん曲を書いて、たくさんライブをしていくつもりです。1stアルバムの『amazing sky』はもう二度と書けない、出せない一生モノだと思うので、大事に聴いてください。ツアーもライブもその時、その瞬間しか見られないので、来て欲しいです。一緒に楽しみたいです。
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