指原が座長公演でも証明!アイドルと演劇はナゼ相性がいイイのか?

先日まで開催されていたHKT48「指原莉乃座長公演」に関して秋元康氏が「演劇を大事な柱にしていきたい」と語ったことがニュースにも取り上げられたことで、再びアイドル+演劇に熱視線が注がれているという。

アイドル×舞台の流れは今に始まったものではない。90年代初頭には歌劇とアイドルの融合を果たした南青山少女歌劇団が、03年には「舞台からスターを! 舞台からアイドルを! そして舞台からヒット曲を!!」をテーマに掲げた女性だけのミュージカル集団、東京メッツが存在。今で言うライヴアイドル(地下アイドル)たちも小劇場での舞台出演を数多く行ってきた。元々ファンタジーとしての存在のアイドルと、別世界を表現する舞台の親和性の高さは過去からの流れである。それが00年代中期に始まるアイドル文化の一時的な停滞と共に、潜ってしまっただけなのだ。

今では乃木坂46、東京パフォーマンスドールのように舞台を大切な要素として取り入れるグループが現れたことで、多様性が進むアイドルシーンに演劇の要素が面白い風を運んできそうなのだ。

アイドル×舞台の血を脈々と受け継ぎ、今のアイドル舞台シーンをけん引する役割を担っていたのは、間違いなくハロー!プロジェクトだ。01年にモーニング娘。主演ミュージカル「LOVEセンチュリー~夢はみなけりゃ始まらない~」を皮切りに、その後も劇団宝塚と共演したミュージカルを開催するなど、本格的な舞台進出を推し進めて来た。そして2006年には、小劇団とのコラボにより誕生した「劇団ゲキハロ」がスタート。本職顔負けの内容を展開し続けた。2013年にゲキハロの活動に一度終止符を打つも、装い新に「演劇女子部」として再スタート。とてもアイドルの舞台とは思えないほど凄惨で退廃的な内容となった「LILIUM-リリウム少女純潔歌劇-」をはじめ、コンスタントに開催。今でもアイドル×舞台のど真ん中を走り続けている。

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※写真は「LILIUM-リリウム少女純潔歌劇-」

なぜにここまでアイドルと演劇を密に結びつけたのか?つんく♂氏も過去にインタビューで話しているのだが、アイドルとしてあり続けるためには変化が必要であり、そのために1日1日を積み重ねてクリアする演劇を経験することで活力を養わせているのだ。実際にアンジュルムメンバーの和田彩花もゲキハロ13回公演「我らジャンヌ~少女聖戦歌劇~」出演が刺激となり、その後のライヴで新たな表現を引き出したとも語っている。現在のハロプロアイドルの凄味の根底に、舞台経験が活きているのは確実だ。

そして今年に入り、スターダストが面白い動きを見せ始めた。私立恵比寿中学と人気劇団・シベリア少女鉄道を主宰する土屋亮一氏による舞台「エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート」を3月12日から三日間に渡り開催。エビ中×土屋によるテレビドラマ「甲殻不動戦記ロボサン」の流れを組むように、ユルリとした展開とブッ飛んだテンションが交差する群像劇喜劇は、当人たちの現実の姿がシンクロするようで面白かった。エビ中メンバーのコメディエンヌぶりが光っており(中でも廣田あいかと松野莉奈のキャラの壊れ具合は格別)、それを引き出した土屋氏の演出の辣腕ぶりも見事。次もこのコンビで作品を期待できるほどの完成した一品だった。

00年代後半より劇団女神座ATHENAが道を切り開いてきた小、中劇場のアイドル舞台。中でもアリスインプロジェクトが果たした役割は大きい。2010年発足。若手女優や女性アイドルのみで構築された、複雑かつ独特なSF世界は、中毒者を量産。過去にはPASSPO☆の根岸愛、増井みお、槙田紗子に小池美由、滝口成美ら今をときめくアイドル達を積極的に採用と絶妙な慧眼ぶりを見せている。4月29日から始まる「ラストホリディ2015~終わらない歌~」でもアイドリング!!!の橋本瑠果、はちきんガールズの石川彩楓らが出演と、次世代のシーンを引っ張るだろう若手アイドルを起用と、キャスティングの妙を感じさせる。

またアリスインプロジェクト自身、歌と演劇をミックスさせた“アクトアイドル”を掲げるグループ、アリスインアリスをプロデュースしている。1曲ごとに世界観が変わるショートミュージカルを観ているような感覚が味わえる、ケレン味たっぷりなライヴが最高に楽しい存在だ。そして、空天シンパルスのように元々、舞台で作られた企画ものアイドルが、舞台から飛び出し本格的にデビューするという現象も起こっており、確実に面白いうねりが生まれようとしているのは間違いない。

舞台を経ることで、声を張るというテクニックはもちろん、確実に表現力は増す。それが還元できればアイドルのライヴはネクストステージに向かうだろうし、ファンも舞台を通じて普段とは違うアイドルの魅力に触れることで新たな楽しみを得るはずだ。この形が広がることで、今現在のシーンにとっての「飽和状態の中にある手段の一つ」が、それにとどまらない新た局面を運んでくれることを期待している。(田口俊輔)


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