【アデュー!2014年大衆音楽決算】“K-POP韓流”中国に進路を向ける ― Vol.3



2014年の大衆音楽界のキーワードは“忍耐”だ。今年は“カムバック年”として振り返られるほど、いつよりも多くの歌手が歌謡界に戻ってきてファンの忍耐に応えてくれた。一方、セウォル号惨事を機に、アルバムの発売やフェスティバル、コンサートなどが次々と延期、またはキャンセルされ、活動に制約を受けたミュージシャンは忍耐強く我慢しなければならなかった。こんな中でも、YG ENTERTAINMENTなど特定の芸能事務所所属のミュージシャンは音楽配信チャートを席巻し、疎外されたミュージシャンは臥薪嘗胆して忍耐の苦味を味わうしかなかった。彼らは忍耐強く待つこと以外、できることがなかった。忍耐は苦く、その実は決して甘くなかった2014年の大衆音楽界の重要な流れを振り返ってみる。


中国をパートナーに


今年を振り返ってみると、2014年はK-POP韓流のパラダイムが日本から中国に移る元年として記憶されるだろう。従来のK-POPの海外進出は、実質的にアルバムを含めたグッズが販売される日本市場に重点を置いた。韓国のエンターテインメント業界は音楽産業がきちんと整った日本の企業との契約を通じてK-POP市場を拡大していった。実は中華圏市場は“公演を売ってお金を稼ぐイベント用”市場に過ぎなかった。中国は透明なアルバム市場は形成されていないものの、公演を見に来る多くの観客がいるからだった。だが、2014年を基点に中国市場への態度が変わっている。もはや中国を見事な事業パートナーとして捉えるようになった。


2014年からは韓国の芸能事務所が中国の企業と様々な契約を結び、中国の進出をさらに本格化している。最も素早く動いているのはYG ENTERTAINMENT(以下YG)だ。YGは今年、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(以下LVMH)グループ系列のプライベート・エクイティ・ファンドであるLキャピタル・アジアから8000万ドル(約96億円)の投資を誘致した。これについて、ロイター通信は「2012年、歌手PSYを世界に紹介した韓国の芸能事務所YGはLVMH、サムスンのような大企業との連携を通じて、K-POPスタイルで中国のファッションやエンターテインメント市場を征服するだろう」と報じた。ヤン・ヒョンソク代表はロイター通信とのインタビューで、「K-POP文化の幅広い影響力はアジア市場、その中でも中国で際立たせる思う」と語った。つまり、確保した資金を中国市場の進出に投資するという意味である。また、12月には中国の代表的IT企業であるテンセントと戦略的協約を結び、両社共同の事業を創出できる礎を築いた。

従来、中国市場と最も密接な関係を持っていたのはSMエンターテインメント(以下SM)だった。今年11月には、世界最大の電子商取引大手の阿里巴巴集団(アリババ)がSMに1000億ウォン(約109億円)以上の投資を進めており、有償増資の方法でSMの2大株主になる案まで議論中という報道があった。これは、韓中自由貿易協定(FTA)の交渉が妥結した後、両国の業種別1位の企業間の資本提携という点で話題になり、株式市場にも影響を及ぼした。だが、SM側はこの報道について事実ではないと反論した。中国市場に詳しいある歌謡界の関係者は「最近、中国の大手企業の間でK-POP事業に対する関心が高い。SMの他にも中規模アイドル企画事務所に中国から資本提携の提案が来ていると聞いた」と話した。



FNCエンターテインメント(以下FNC)は今年、KOSDAQ(コスダック:韓国の証券市場)に上場して、時価総額が約1800億ウォン(約197億円)を記録して、SM(7400億ウォン/約795億円)、YG(7100億ウォン/約763億円)に続き、業界3位に躍り出た。FNCがこんなに成長した最も大きな理由はCNBLUE、FTISLANDなどが日本の公演市場で稼いだ収益のおかげだ。だが、こうしたFNCも上場を通じて確保した資金を中国市場の進出に投資する予定だ。FNCはすでに香港に設立した子会社を通じて、中国市場の進出拠点を設けておいた状況である。

日本市場に進出するためにはそれだけの機会費用が必要だ。今、日本で確固たるファンダム(特定ファンの集まり)を持っている東方神起、JYJ、BIGBANG、2PM、SUPER JUNIOR、少女時代、KARAなどは日本進出のために膨大な時間と努力を投資した。だが、ブルーオーシャン(競争のない未開拓市場)として浮上した中国市場の場合、韓国での人気をそのまま背負って進出する形である。さらに、今は投資パートナーも現れているため、活路はより広くなるとみられる。





世界を観客に


昨年に続き、今年もK-POPの他にも様々なジャンルのミュージシャンが海外進出を図った。海外進出に対する熱望が大きくなり、「APAMM」「MU:CON SEOUL 2014」「Zandari Festa」など国際音楽博覧会に対する関心が熱かった。多くの海外の音楽関係者が韓国を訪れ、これを通じて「Glastonbury Festival(グラストンベリー・フェスティバル)」など世界的なフェスティバルに韓国のバンドが出演するチャンスを得た。

このように、海外進出に対する熱望がある中、今年アイドルグループを除いてビジネス的に成果を収めたケースには、今年の夏ヨーロッパツアーを盛況のうちに終えたフュージョン国楽グループJAMBINAIを挙げられる。


JAMBINAIが収めた成果は注目すべきだ。今年の夏、世界最大規模の音楽フェスティバルである「Glastonbury Festival」「Roskilde Festival(ロスキルド・フェスティバル)」「Exit Festival」などをはじめ、14ヶ国26回公演のヨーロッパツアーを盛況のうちに終えたバンドJAMBINAIは、普通のアイドルグループよりも多くの海外公演を行った。9月と10月は中国・上海公演を行って、12月には2週間にわたってベネルクス、フランスを周りながら10回公演を行った。また、来年3月にはオーストラリアの最大音楽フェスティバル「WOMAD」への出演が確定し、5月末のロシアを皮切りに8月までヨーロッパを周る予定だ。この他にも、JAMBINAIは再来年の公演まで出演オファーが来ている状況だという。



もしJAMBINAが持続的なフェスティバルの出演やツアーを通じて大きな収益を出すと、これはK-POPのもう一つのビジネスモデルを提示することになる。国際的な人脈のあるエージェントを通じて海外のフェスティバル市場に進出するというビジネスモデルだ。JAMBINAIの海外公演のエージェントを務めたオランダの専門エージェンシー“Earth Beat”の代表ジェロム・ウィリアムズは、10asiaとのインタビューで「今はJAMBINAIを海外に紹介する段階だが、今後は現地のプロモーターを通じて単独公演を開催するレベルまで行かなければならない」と話した。

元記事配信日時 : 2014年12月19日06時45分 記者 : クォン・ソクジョン、翻訳 : ナ・ウンジョン




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